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バイナンスとSECの法的対立:暗号資産業界に波紋
バイナンスの疑惑とSECの訴訟
米国証券取引委員会(SEC)は、世界最大の暗号資産取引所バイナンスとその創設者、趙長鵬(ジャオ・チャンポン)を訴えました。SECは、バイナンスと趙が顧客の資金を不正に使用し、趙が所有するシグマ・チェイン(Sigma Chain)という事業体に流用したと主張しています。さらに、バイナンスは取引ボリュームを人工的に膨らませるために「操作的取引」を行っていたとも指摘されています。
バイナンスの反論と業界への影響
これに対し、趙はこれらの主張を否定し、訴訟を「不当」と呼び、SECが暗号資産業界を標的にしている「見当違いの行動」の一例だと反論しています。このニュースは暗号資産業界全体に影響を及ぼし、ナスダックに上場している米国の大手取引所コインベースの株価も約9%下落しました。
バイナンスの法的問題の連続
バイナンスは近月、多くの法的問題に直面しています。商品先物取引委員会(CFTC)は今年3月、バイナンスと趙がCFTC未登録の暗号資産の先物やその他のデリバティブを米国民に提供したとして訴訟を起こしました。また、バイナンスの元最高コンプライアンス責任者であるサミュエル・リムが同社の米国法違反を幇助したとも主張されています。
バイナンスの資産移動とFTXの破綻
さらに、バイナンスが2022年8月から12月にかけて、約18億ドルの顧客の資産を、顧客に知らせずにヘッジファンドに移動させていたと報じられています。この資産の移動は、昨年11月に破綻したFTXでの動きと酷似していたと指摘されています。